たてピロー包装機とメーカー
はじめに
自動包装機の代表としてよこピロー包装機をとりあげたが、今回はたて型製袋充填機の一つである、たてピロー包装機(Vertical form-fill-seal machine)を紹介する。
たてピロー包装機とは できあがった袋形態がピロー(枕)状になっており、フイルムが横方向に走るのがよこピロー、上から下に走るのがたてピロー包装機である。図1のように、まず背中シール(センターシール)をして筒(チューブ状)をつくり、中味を充填しつつ、よこシール(カットシール)をする工程はよこピロー包装機と同じである。代表的なたてピロー包装の工程を図2に、写真1では実際の包装機の一例を示した。
たて型製袋充填機には、砂糖のスティック形状、小袋液体包装で多く採用されている三方シール(コの字形シール)、医薬品などの包装に多い四方シール形状、ピラミッド(三角)状形式、チャック付などの専用あるいは兼用包装機もある。

図1.たてピロー包装機の簡易図(食品包装技術便覧)
フイルムの繰りだし ↓ フォーマーでフイルムの両端(シール面)を合わせる ↓ たてシールをし、筒状にする ↓ サッカーや紙引き兼よこシーラーでワンピッチ分 ずつフイルムを引き下げ、よこシールを行う ↓ フイルムを引張り下げると同時に、ホッパーから計量された内容品が落ちてくる ↓ 頭シールをすると同時にカットされる (実際には底・頭シール、カットが同時に行われる) ↓ コンベアで排出 |
図2.代表的なたてピロー包装機の工程 |

写真1.たてピロー包装機KBF-6151G2型(㈱フジキカイHPより)
■KBF-6151G2型タテピロー包装機の特徴
・コンパクト設計
ガイドロールの本数が最小になるようにレイアウトの最適化を計ることで、フィルム送りの抵抗を抑え、省スペース化に大きく貢献。
・高速化
フィルム送りは左右単独に。また、ヨコシールの駆動にもサーボモータを標準装備した。フィルム送りをバキュームベルト方式にすることで、円筒内の突起物がなくなり、さらに衛生的である。
・メンテ・衛生面
本体の内部を容易に見える構造とし、状態を把握するのが容易である。本体SUS仕様のため(一部の部品は除く)耐久的に優れ、衛生的である。
・安定稼動と包装不良対策
当社独自のマイコン制御と診断機能により、トラブルと不良品の減少を実現。
・兼用性
簡単な操作でサイズチェンジができ、アジャストは全て記憶式でモーター駆動により自動調整する。
■KBF-6151G2型タテピロー包装機の仕様
・使用例:バラもの、スナック、キャンディー、コーヒー、他
・能力:6~120rpm(諸条件による)
・袋寸法:幅70~250mm 長さ100~360mm
・包装材料:OPP/CPP,PET/PE,OP/PE,OPP/VM/PE等
・包装寸法:紙幅150~530mm長さ100~360mm
・機械寸法:幅1,010mm長さ1,290mm高さ1,550mm
・機械質量:約700kg
・使用電力:3相,200V,約8kW,30A
・エアー消費量:0.5MPa,320L(Normal)/min(120rpm時)
・オプション:日付装置,冷却エア吹き付袋抑え, ミシン目装置,C型ホールパンチ,シワのばし装置,ガセット装置,サイドベルト送り,ホッパー振り装置,他
たてピロー包装機の価格と納期(平成17年4月現在)
上記のKBF-6151G2型は、やや高級機になるが、本体価格700万円、オプションの例としてガス充填装置が45万円、簡易ガセット装置が40万円である。標準的なたてピロー包装機の価格は500~600万円で、一般にはいくつかのオプションが必要になる。納期はおよそ2ヶ月である。
たてピロー包装機に適した内容品
底シールした筒状フイルムの中に内容品を落下させて充填するので、落下によって形状が破壊するもの、袋の中にきれいに列べる必要があるもの、トレイを併用するもの、非常に軽くて落下に時間がかかるもの、先が鋭利でフイルムを突き破るものなどの包装には適さない。
たてピロー包装機は液体、粘体、粉体、粒体、バラもの食品などの包装に適している。具体的には次のとおりである。
▼液体、粘体、固液混合
うどんスープ、みそ、マヨネーズ、アン、こんにゃく、しらたき、ケチャップなど
▼粉体
スパイス、調味料、食品添加物、小麦粉、グラニュー糖、粉末コーヒー、きな粉、粉石けんなど
▼粒体
コーヒー豆、キャンデー、ナッツ類、豆菓子、穀類など
▼バラもの食品
チョコレート、ウインナー、シュレッドチーズ、スナック菓子、ポテトチップス、あられ、ビスケット、各種冷凍食品、チキンナゲット、ミートボール、青果物(ピーマン、さといも)など
▼その他
氷塊、詰替用液体洗剤、化学薬品、農薬、金属部品など
たてピロー包装機に要求される包装フイルムの性能 ▼すべり性
フイルムのすべり性が悪いとフイルム詰まりやピッチエラーの原因となる。また、内容品が袋の底までスムースに落ちないこともある。
▼寸法安定性
伸びやすいフイルムや印刷ピッチにばらつきがあるとロスが増えたり包装できないことがある。
▼低温シール性
低温シール性であれば温度設定しやすく、スピードアップやシール不良発生率低下が期待できる。
▼ホットタック性
よこシール直後に内容物が落下してくるのでホットタック性が必須条件になることがある。ガスフラッシュ充填の時にもこの性能が必要になる。
▼帯電防止性
粉末、顆粒などの内容物は帯電防止フイルムが必要になる。
標準装備とオプション装置
★自動フィルムスプライサー
フイルム自動接続機で、紙継ぎの時に時間ロスや失敗が少なくなる。
★ガス充填装置
二酸化炭素や窒素などの不活性ガス充填包装には必須となる。ガスフラッシュ式で高速自動充填できる。
★フィルム蛇行修正装置
EPCなどでフイルムの蛇行を検知し、自動的に中央に修正してくれる装置。
★ガセット装置
エンドシール部分にガセット折り込みを入れ、コーヒーなど、背の高いもの、型くずれしやすいものの包装に必要。本格的な自立形式と簡易ガセット式がある。
★かみ込み検知
エンドシールでの内容物かみ込みも頻発しやすい。かみ込み検知ができればシール不良品が出荷されることも少なくなる。
★各種自動供給装置
内容品の種類によって、コンベア式、パケット式など、いろいろな自動供給装置が用意されている。
★計量器
液体、粘性物、バラもの包装機には必需設備である。容量式、重量式、オーガ式、計数式などがある。
★ホールパンチ
エンドシールの部分に吊り下げ用のパンチ穴を入れるための装置。
★脱酸素剤投入装置
高速で自動的に脱酸素剤を投入できる。高速包装の場合は必須である。
★空袋防止検知装置
内容物が供給されない時は自動的に機械を停止させることができ、フイルムのロスが少なくなる。
★位置ズレスルー機能
連包で排出するノンカットシステム
★カレンダータイマ
ヒーターのON/OFFが設定できる。
★その他のオプション機能
ステンレス仕様、プリンター、日付装置、ミシン目装置、自動結束装置(扇しぼり)など
主なたてピロー包装機メーカーの連絡先とホームページ(HP)
●株式会社 フジキカイ 〒451-8568 名古屋市西区中小田井4-380
TEL 052-502-1211(代表) FAX 052-502-2248
http://www.fujikikai-inc.co.jp/top-jpn.html
ヨコピローと同じく技術的に安心できる。
●株式会社 川島製作所
〒340-8568 埼玉県草加市谷塚上町434
TEL 048-925-1573 FAX 048-925-1576
http://www.kawashima-pack.co.jp/jap/
日本のたてピロー機のパイオニアである。
●株式会社 東京自働機械製作所
〒101-0032 東京都千代田区岩本町3-10-7
TEL. 03-3866-7171 FAX. 03-3866-7644
http://www.tam-tokyo.co.jp/product/fillseal.html
歴史があり、技術・実績ともに十分である。
●日本ポリスター株式会社
〒540-3289 滋賀県甲賀郡甲西町夏見1781番地
TEL 0748-72-1990(代) FAX 0748-72-6686
http://www.nippon-polystar.co.jp/
小型、簡易型の機械専門。
●株式会社 三和自動機製作所
〒566-0012 大阪府摂津市庄屋2-1-48
TEL 06-6381-1195 FAX 06-6382-0882
http://www.wfsanwa.co.jp/pages/top.html
たてピローでは十分な実績がある。
●株式会社 イシダ
〒606-8392 京都市左京区聖護院山王町44番地
TEL 075-771-4141(代) FAX 075-751-0747
http://www.ishida.co.jp/ad/astro/index.html
機種は少ないが、計量器との組み合わせが得意。
●株式会社 ユーキ
〒334-0062 埼玉県川口市榛松628
TEL 048-285-2261 FAX 048-284-7752
http://www.yuki-mfg.co.jp/04/imagebord/index.html
液体用包装機が専門である。
●中央包装機株式会社 〒 東京都足立区宮城2-11-3
TEL 03-3914-3331 FAX 03-3914-7141
http://www.chuopac.co.jp/index.html
こんにゃくなど液体用包装機専門。
(参考文献) たてピロー包装機メーカーのカタログおよびホームページ