LECTURE

食品包装基礎講座

容器包装ガイドライン(経済産業省)

   容器包装リサイクル法の完全実施を来年4月にひかえて、容器および包装に該当するかどうかの問い合わせが多いので、通産省から示されている容器包装ガイドラインの全文を掲載する。なお、’99 8月末には、特定事業者の排出見込み量算定方法、再商品化義務量算出のための容器包装廃棄物比率など、具体的な内容が省令として出される見通しになっている。以下、容器包装ガイドラインの全文である。
(前略)
 本資料は、省令(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行規則平成七年大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省令第一号)第一条及び第四条に関連し、特定事業者が最初の義務を負うこととなる容器包装の範囲などについて、基本的考え方を示したものである。

 

Ⅰ 容器包装リサイクル法の対象となる「容器包装」に該当するか否かの判断の目安


1.法律上の定義および効果
1定義
 この法律において「容器包装」とは、商品の容器及び包装であって、当該商品が費消され、または当該商品と分離された場合に不要になるものをいう。(法第二条第一項)
2効果
 容器包装リサイクル法上の「容器包装」に該当すると、基本的には、消費者が分別排出し、市町村が分別収集し、事業者が再商品化を行うという同法の体系の範疇と位置づけられる。(ただし、これらの責務が具体的に発生するのは、市町村が実際に分別収集を行う容器包装区分に該当する場合のみ。)
2.具体的判断の目安
 容器包装リサイクル法の対象となる「容器包装」に該当するか否かは、次の点を目安判断される。(1)~(3)は法律上の定義から直接的に導かれるもの、(4)は広範に及ぶ本法の関係者が、当該物が「容器包装」であることを容易に判断できることが求められることから、容器包装であるか否かは基本的には社会通念に沿って判断されるべきとの考え方に基づくものである。
 なお、社会通念によっても、容器包装であるか否かが不分明であり、一律に整理することの困難なケース(中仕切り、台紙、緩衝材など)については、容器包装と位置づけられなかった他のものとの関係で不公平が生じないか、法目的の一つであるごみの減量化や制度の円滑な運用を図る上で不都合はないかなどの観点を考慮して判断される。

(1)容器や包装か。
→容器でないもの(物を入れても包んでもいないもの)は対象外。
〔具体例〕
・焼き鳥の串、アイスキャンデーの棒
・ラップフィルムの芯、トイレットペーパーの芯
・ラベル、ステッカー、シール、テープ類(包ん でいないと認識されるものは対象外。(注))
(注)具体的には、包む商品全体を包むのに要する最低面積の二分の一以下のものは対象外と解する。
・ひも、バンド
・釘、ピン、ホチキスの針
・飲料パックのストロー
・弁当のスプーン、割り箸、お手拭き
→商品の付属品(商品の一部と解される。)の容器や包装は対象。
〔具体例〕
・飲料パックのストローの袋
・弁当のスプーンの袋、割り箸の袋、お手拭きの袋


(2)商品の容器や包装か。
→商品以外の物に付された容器包装は対象外。
〔具体例〕
・手紙やダイレクトメールを入れた封筒
・景品を包む紙袋
・家庭で付した容器や包装
→商品ではなく、役務の提供に伴う容器包装は対象外。
〔具体例〕
・クリーニングの袋
・宅急便の段ボール


(3)中身の商品と分離した場合に不要になるものか。
→通常の使用において中身の商品と分離して不要とはならないものは対象外。
〔具体例〕
・CDのケース
・楽器、カメラなどのケース
・サバイバルナイフの革ケース
・書籍の外カバー
・ボールペンの軸
・日本人形のガラスケース、ボトルシップのボトル

(4)社会通念上、容器包装であると概ね判断可能か
→容器の栓、ふた、キャップなどは対象。
〔具体例〕
・PETボトルのキャップ、ガラスびんの王冠
・金属缶のタブ(飲み口部分のもの)、缶詰のタブ(口全体のもの)
・カレー粉の缶のふた、贈答用紙箱の上ぶた
・名刺ケースのふた
・カップ焼きそばのふた、カップラーメンのふた、プリンのふた
→中仕切り、台紙などは、その使われ方が様々であり、次の①及び②の整理に従い、使用形態により、個別具体的に判断。
①容器包装と物理的に一体となって、商品の保護または固定のために使用されていると考えられるものは対象。
〔具体例〕
・商品の固定のために箱と一体となって使用されるお菓子の中仕切り上げ底
②容器包装と物理的に分離されて使用されており、必ずしも当該容器包装と一体となって物を入れ、または包んでいるものとは考えづらいものは対象外。
〔具体例〕
・にぎり寿司の中仕切り(透明または緑色のプラスチックフィルム)
→発泡スチロール製の緩衝材などは、次の①~⑤の整理に従い、使用形態により、個別具体的に判断。
①商品を保護または固定するために加工されているものは対象。
②立方体状、板状であって、商品を保護または固定するために段ボール箱などと一体として使用され、容器の形状を構成しているものなどは対象。
③比較的小型のものが、多数段ボール箱などに詰められることにより、商品との空間を埋めているものは対象外。(注)
(注)商品が抜かれるとバラバラになってしまい、商品を入れているまたは包んでいると解されないため。
④シート状の柔らかいものについては、商品を包んでいると解されるものは対象、解されないものは対象外(注)。
(注)具体的には、包装により包まれている商品の面積が商品全体を包むのに要する最低面積の二分の一を超えるものは対象、二分の一以下のものは対象外と解する。この際、ネット状の包装については、ネットの空間部分を含んでいる面積として考えるものとする。
⑤果物などに使われるネット状のものは対象(注)。
(注)ネット状であっても、商品を入れていると解されるため。


 

Ⅱ 「特定容器」に該当するか否かの判断の目安

 
1.法律上の定義および効果
1定義
  この法律において「特定容器」とは、容器包装のうち、商品の容器であるものとして主務省令で定めるものをいう。(法第二条第二項)
2効果
  「特定容器」に該当すると、その利用事業者と製造事業者の双方に再商品化義務が課せられる。(両者で再商品化義務量を按分。)
2.具体的判断の目安
 基本的に、Ⅰ.により容器包装に該当すると判断されるもののうち、商品を入れるものと認識されるものであり、具体的には、該当するものをその形状により主務省令の別表にて列挙。

 

Ⅲ 「特定包装」に該当するか否かの判断の目安

1.法律上の定義および効果
1定義
 この法律において「特定包装」とは、容器包装のうち、特定容器以外のものをいう。
2効果
  「特定包装」に該当すると、その利用事業者のみに再商品化義務が課せられる。
2.具体的判断の目安
 基本的に、Ⅰ.により容器包装に該当すると判断されるもののうち、Ⅱ.の特定容器以外のもの。具体的には、商品を包むものと認識されるもの。包装により包まれている商品の面積が商品全体を包むのに要する最低面積の二分の一を超えるものが該当。
〔特定包装に該当するものの例〕
・デパートなどの商品全体を包む包装紙
・生鮮食料品にトレーと同時に用いられるラップフィルム
〔特定包装に該当しないものの例〕
・野菜の結束用テープ、靴下の帯状ラベル、ビールびんのラベル

 

Ⅳ 「分別基準適合物」に該当するか否かの判断の目安

1.法律上の定義および効果
1定義
   この法律において「分別基準適合物」とは、市町村が第八条に規定する市町村分別収集計画に基づき容器包装廃棄物について分別収集をして得られたもののうち、厚生省令で定める基準に適合するものであって、主務省令で定める設置の基準に適合する施設として主務大臣が市町村の意見を聴いて指定する施設において保管されているもの(有償または無償で譲渡できることが明らかで再商品化をする必要がない物として主務省令で定める物を除く。)をいう。(法第二条第六項)
2効果
  「分別基準適合物」についてのみ事業者に再商品化義務が発生する。
2.具体的判断の目安
 法律上の定義から直接的に導かれる次の四つの要件を満たす物が「分別基準適合物」に該当。
①市町村が、容器包装リサイクル法に基づき市町村分別収集計画を策定し、同計画に従って、分別収集を実施して得られた物のうち、
②分別基準(厚生省令にて規定)に適合するものであって、
③保管施設の設置の基準(主務省令にて規定)に適合する施設として主務大臣が市町村の意見を聴いて指定する保管施設において保管されているもので、
④①~③の要件を満たせば有償または無償で譲渡できることが明らかで再商品化をする必要がない物として、主務省令で指定したもの以外のもの。
(注)平成九年四月から適用開始となるものについては、そのうち、主として鋼製の容器包装、主としてアルミニウム製の容器包装、飲料を充填するための主として紙製で、アルミとの複合材以外の容器の三種を指定。

 

Ⅴ 「特定分別基準適合物」に該当するか否かの判断の目安

1.法律上の定義および効果
1定義
 この法律において「特定分別基準適合物」とは、主務省令で定める容器包装の区分(以下「容器包装の区分」という。)ごとに主務省令で定める分別基準適合物をいう。(法第二条第七項)
2効果
   「特定分別基準適合物」ごとに、再商品化義務量は算定される。
2.具体的判断の目安
 分別基準適合物(=再商品化義務の対象物)を容器包装区分ごとに(=容器包装の種類別に、例えば、PETボトル、無色のガラスびんなどの別に)分けたものを指す。
 具体的には、主務省令にて列挙。なお、厚生省令で定める分別基準同様、平成七年十二月の時点では、平成九年の四月より適用開始となる容器包装の種類に関してのみ規定。
 また、それぞれの容器包装が具体的にどの容器包装区分に分類されるかについては、主として何製であるかによることとしており、当該容器包装を構成する素材のうち重量ベースで最も主要なものに分類