LECTURE

食品包装基礎講座

食品包装基礎講座

 
CONTENTS 1.OPP/PE
2.OPP/CPP
3.OPP/EVOH/PE 4.OPP/VMPET/CPP
5.OPP/VMCPP
6.KOP/PE
7.KOP/CPP
8.PET/PE
9.PET/CPP10.KPET/PE,CPP
11.ON/PE
12.ON/CPP
13.KON/PE
14.PET/VMPET/PE
15.PET/AL/PE,CPP
16.ダイオキシン対策について
 

 
(ラミネート---laminate---について)
  ラミネートとは積層するという意味で、性質の異なったフイルムとフイルムを貼り合わせてそれぞれの特徴を生かし、目的の性能を持った包装材料を製造する技術である。一般には2層~3層構成が多いが、4層以上の場合もある。ラミネート方法としては、押し出しラミネート(エクストルージョンラミネート、溶融したPEをスリット状にフイルムに流し込み、圧着・冷却して巻取るもので、以後、ELと呼ぶ)とドライラミネート(フイルムとフイルムを接着剤で貼り合わせる方法で以後、DLと呼ぶ)の2つが代表的である。
   OPP、PET、ONなど、ラミネートフイルムの表基材として使われるものをベースフイルム、ヒートシール材としてフイルムの内面に使用されるものをシーラントフイルム、ベースフイルムとシーラントフイルムにサンドイッチされ、酸素、水蒸気、光などを遮断する目的で利用される中間基材のフイルムをバリヤー性サンドフイルムと呼ぶ。
 
1.OPP/PE , OPP/EVA , OPP/LLDPE
  比較的低コストの包装材料で、防湿性はあるが、酸素透過度は大きい。酸素の影響を受けにくい砂糖、塩、菓子、冷凍食品などの含気包装に使われる。
 
2.OPP/CPP
  前述のOPP/PE系よりは透明性、腰の強さに優れるが、耐衝撃性は劣る。従って、液体包装には適さない。防湿性はあるが、酸素遮断性はない。
 酸素の影響を受けにくい乾燥食品、干菓子、雑貨など汎用的なフイルムとして広く用いられている。
 厚みはOPPは20~50μ、CPPが20~60μであるが、一般にはOPP20μ、CPP20~50μが多い。
 ELではOPP/PE/CPPとなる。PP樹脂の押出しもでき、この時はOPP/PPダイレクトラミとなる。
 
3.OPP/EVOH/PE
 けずり節に使われている代表的なフイルム構成で、酸素透過度が1cc/㎡・24hrs.atm.20℃dry 以下である。一般のKコートフイルムの酸素透過度が約10ccであることを考えれば、はるかにバリヤー性は優れている。
 EVOHはクラレのエバールが代表的で、延伸ビニロン系ではボブロンが多く使用されている。
 OPPは特に静電気防止性の強いものを使用し、シーラントも静電気防止タイプが必要である。厚みは20/12~15/50~70が多い。けずり節のほか、漬物、粉末スープ、高級菓子、珍味、日本茶などにも使われている。
 
4. OPP/VMPET/CPP
 ポテトチップスの袋に多く使用されている構成で、ガスバリヤー性、防湿性、光遮断性に優れている。しかし、アルミ箔に比べれば劣る。実際のポテトチップスの包装はELで、OPP/PE/VMPET/PE/CPPという構成が多い。もちろんポテトチップスだけではなく、光、酸素、湿気の影響を受けやすい内容品に適している。
 
5.OPP/VMCPP
 VMCPPは、防湿性は良いが、ガス遮断性は良くない。従って、OPP/VMCPPは防湿包装用となり、ポテトチップス、キャンデー、クッキー、スナック菓子などに広く使われている。また、冷凍食品のピロー外装、アイススティックなどにも使用されている。
 
6.KOP/PE , KOP/EVA , KOP/LLDPE
  OPPにK(PVDC)コートしたものがKOPで、防湿性、ガス遮断性に優れている。KOPはバリヤー材としては最も多く使用されている。KOPにもいくつかの種類があり、用途によって使い分けられる。ボイル用KOPはPE、EVA、LLDPEなどとラミネートして漬物、こんにゃくなどの真空ボイル包装に、ハイバリヤータイプのKOPは高防湿性を要求する菓子、ふりかけなどの用途に使用されている。一般KOPは酸素透過度が約10cc、透湿度が約5gで、PE、EVAなどとラミネートして、ガス充填包装や脱酸素剤封入包装に広く使用されている。強度が必要な用途にはLLDPEがラミネートされる。
 
7.KOP/CPP
   KOP/CPPはガスバリヤー性、防湿性があり、PEをラミネートするよりも透明性が良く、腰もあるので、一般乾燥食品、菓子、ガス置換包装、脱酸素剤封入包装、小物のたて・よこピロー包装などに広く使用されている。CPPは耐衝撃性がないので、水物、重量物包装には適さない。よこピロー自動包装ではKOP#20/低温シール性CPP20~30μ、製袋物ではKOP#20/CPP30~50μが多い。
 
8.PET/PE , PET/EVA , PET/LLDPE
 PETフイルムの最大の特徴は、耐熱性、耐寒性、保香性である。
 PETの耐熱性は汎用フイルムの中では最も高く、レトルトパウチにもよく使用されている。また、PETを最外装に使用したフイルムは適正なヒートシール温度範囲が広く、きれいなシールができ、しかもロスが少なくなる。またスピードアップも計れる。耐寒性もよく、-60℃でも劣化することはない。
 またPETフイルムは単体でもKコートフイルムなみの保香性をもっており、香気成分の多い食品、アルコール揮発剤などの包装に適している。しかし、アルカリには強くないので注意が必要である。
 PET/PEは薬品、真空包装、冷凍食品などに多く使用されている。酸素遮断性、防湿性ともに中途半端で、ガス置換包装、防湿包装には適さない。真空包装には使用できる。EVAやLLDPEをラミネートすれば耐衝撃性も改善されるので液体小袋包装にも使われる。
 厚みはPET12μ/PE40~70μが多い。
 
9. PET/CPP
  PET/PEは水物用として使用されることも多いが、PET/CPPは耐衝撃性がないので酸素や湿気の影響が少ない、キャンデーなどの小物包装、トウフなどのフタ材、耐熱CPPをラミネートしてレトルト容器のフタ材などに使用される。また、カステラなどの乾熱殺菌では180℃、6分間という条件でも使用できる。
 厚みはPET12μ/CPP20~40μ、レトルトのフタ材ではPET12μ/耐熱CPP40~70μが多い。
 
10.KPET/PE , KPET/EVA , KPET/LLDPE , KPET/CPP
  KPETはPETの片面にK(PVDC)コートをしたもので、PETよりガスバリヤー性、防湿性が大きく向上している。また、PETの特徴も持っているので、耐熱性、耐寒性、保香性などにも優れた高級フイルムである。
 PEをラミネートしたものは、機械適性が良く、自動包装に適している。KOPベースを使っているものをKPETに変えるとスピードアップが計れ、仕上がりもきれいになる。低温シール性、耐衝撃性を要求される場合はEVAを、シール強度、耐衝撃性、耐重量物、ホットタック性を要求される場合はLLDPEをラミネートする。耐衝撃性やシール強度がいらない用途には透明性があり、腰もあるCPPが用いられる。
  ガス充填包装、脱酸素剤封入包装、香りや酸素の影響を受けやすい液体小袋包装などに適している。高防湿のKPETはふりかけにも使われている。
  厚みはKPETが#12(PET12μ+PVDC3~5μ)、シーラントは20~70μが多い。
 
11.ON/PE , ON/EVA , ON/LLDPE
  ONの特徴は耐寒性、耐熱性、耐衝撃性、耐ピンホール性である。ガスバリヤー性はPETと同じくらい(湿度80%付近)で良いほうではなく、防湿性も全くなしであるが、耐衝撃性が優れているために、液体食品のほとんどはON構成となっている。耐寒性、耐ピンホール性にも優れており、冷凍食品、突起物をもった食品に適している。また、120℃までのレトルト殺菌にも耐えるので透明レトルトのほとんどはON構成である。しかし、ガスバリヤー性、防湿性を要求するものには適さない。
  シーラントには耐寒性、耐衝撃性、低温シール性に優れたEVA、耐衝撃性、ホットタック性に優れたLLDPEを用いれば強度的に非常に優れたフイルムになる。厚みはONが15μ、シーラントは40~70μが多い。
 
12.ON/CPP
  ON/CPPという構成ではレトルトパウチが筆頭である。CPPにはレトルト用の耐熱CPPを用いる。ハンバーグ、ミートボール、釜飯の素など、透明レトルトパウチのほとんどはON/耐熱CPPである。また、茶碗蒸し用PP容器などのフタ材もON/CPPである。ONは120℃までのレトルトに使用できる。
 厚みはONのほとんどは15μ、CPPは40~70μが多い。
 
13.KON/PE , KON/CPP
  KONはONの片面にK(PVDC)をコートしたもので、ガスバリヤー性、防湿性に優れたフイルムである。また、ONの特徴も備えているので、KPETと並んで高級フイルムの一つである。耐衝撃強度、シール強度、耐ピンホール性、ガスバリヤー性、防湿性などが要求される食品に適している。山菜水煮、こんにゃく、重量物、米、味噌、ハム・ソーセージ、コーヒー豆などの包装に、PE、EVA、LLDPEなどのシーラントをラミネートして用いる。突起物の多い菓子などにはKON/CPPも使われている。最近ではレトルトできるKONも販売されている。KONは一般に#15~25、シーラントには40~70μが多い。
 
14.PET/VMPET/PE , PET/VMPET/EVA , PET/VMPET/LLDPE
  PET/VMPET/PEは、耐熱性、ガスバリヤー性、防湿性、遮光性に優れた高級フイルムである。自動包装では高い温度でもきれいなシールができ、作業性が良く、仕上がりもきれい。保香性も良いのでコーヒー豆の包装によく使われている。また、ミニゼリーのフタ材もPET/VMPET/イージーピールフイルムである。
  米には強度をアップさせたON/VMPET/LLDPEが用いられている。
 
15.PET/AL/PE , PET/AL/CPP
  アルミ箔を使用すればバリヤー性、防湿性、遮光性はほぼ完全であり、長期保存のためには最も優れたフイルムである。ベースフイルムにPETを、シーラントにPE、EVA、LLDPEなどをラミネートすることによって、アルミ箔のバリヤー性とともに、耐熱性と強度も向上し、カステラ、お茶、海苔、薬品、羊羹などあらゆる食品に広く使用されている。
  PET12μ/AL9μ/耐熱CPP60~70μはレトルトパウチ用フイルムとしては最も一般的で、カレー、シチューなどのアルミ構成のほとんどがこの構成である。
 
16.ダイオキシン対策について
  Kコートフイルムは塩素を含むため、燃焼することによってダイオキシン発生の原因物質になると指摘されており、KPET、KON、KOPなどから塩素を含まない構成に変更される傾向にある。
  KPETは透明蒸着PETに、KONは共押のバリヤーONに置換えが可能であるが、KOPについては適当な代替品がなく、苦慮するところである。PVAコートのAOP(トーセロ)は、乾燥食品にはよいが、水分活性0.3以上の食品にはバリヤー性を発揮できない。現在では透明蒸着PETなどに置換えの例はあるが、コスト、耐衝撃性、腰の強さなどで問題が生じている。