「容器包装リサイクル法による容器包装識別表示方法」の内容が検討委員会によりまとめられたので、その要約を示します。資源有効利用促進法(再生資源利用促進法一部改正)の施行(平成13年4月1日)から義務化され、猶予期間は2年間です。今年度(平成12年度)中に告示される予定です。
1.識別マークのデザイン、サイズ
■識別マークのデザイン■
■識別マークのサイズ■
表示に使用する識別マークは、印刷では高さ6mm以上、刻印・エンボスでは高さ8mm以上とする。
■デザインの運用要件■
①識別マークは、容器包装全体の模様及び色彩と比較して鮮明であり、かつ、容易に識別できる限りにおいて、マークの色、抜き文字、線幅、スリット、フォント等の装飾を事業者の判断で施すことができるものとする。
②識別マークは、他の第二種指定製品の識別マーク等を参考に様式を定め、表示スペースや容器包装の大きさ等に対応して、相似形で運用する。 2.無地の容器包装への対応 および
3.表示スペース等の物理的制約がある容器包装への対応
■無地の容器包装の考え方■
「無地の容器包装」とは、「容器包装の製造・利用及び輸入販売段階で、印刷、刻印・エンボス、シール・ラベルが施されないもので、容器包装の製造段階において刻印・エンボスが可能な成形工程を有さない容器包装」を指す。
■表示スペース等物理的制限のある容器包装の考え方■
「表示スペース等の物理的制約がある容器包装」とは、
①容器包装の表示可能面積が50c㎡未満であって、既存の法定表示等がある一定面積を占めることにより、印刷では高さ6mm、刻印・エンボスでは高さ8mmの識別マークが表示できない容器包装
②形状、素材面から技術的に印刷、刻印・エンボスができない容器包装
を指す。
■これらの容器包装への対応■
無地の容器包装、表示スペース等の物理的制約がある容器包装については、直接の表示を省略できるものとする。ただし、表示を省略したこれらの容器包装が多重容器等を構成する表示可能な他の容器包装に表示しなければならない(表示可能な他の容器包装がない場合を除く)。 4 .多重容器包装等における表示の要件と表記方法
■多重容器包装等における表示の要件■
平成11年度の検討委員会ですでに決定されている通り、多重容器包装等の場合でも、原則として、対象となる個々の容器包装ごとに識別表示を行う。ただし、
①無地の容器包装、又は表示スペース等の物理的制約がある容器包装について、識別表示を省略した場合には、多重容器包装等を構成する表示可能な他の容器包装に表示しなければならない(表示可能な他の容器包装がない場合を除く)。ただしこれらと同じタイミングで廃棄される表示可能な他の容器包装がある場合には、それへの一括した表示が優先されなければならない。
②多重容器包装等を構成する容器包装のうち、同じタイミングで廃棄される複数の容器包装が存在する場合には、それらについての直接の表示は省略できることとする。ただし、省略した場合には、同じタイミングで廃棄されるいずれかの容器包装に一括して表示し、残りのものについては個別に表示しなければならない。 ※「同じタイミングで廃棄される場合」とは、ほぼ同時期に廃棄されることを意味するが、詳細な判断は、各事業者又は業界ごとの対応に委ねるものとする。
■一括して表示する場合の表記方法■
紙製容器包装とプラスチック製容器包装の区別を識別マークで表示し、隣接する位置に該当する部位を文字で記す。
なお、一括して表示する場合に使用する識別マークについても印刷では高さ6mm以上、刻印・エンボスでは高さ8mm以上とする。また、部位名の文字は視認性を考えると印刷では6ポイント以上、刻印・エンボスでは8ポイント以上が適当である。 ※一括して表示する場合の表記方法の中で、以下の①、②、③は事業者又は業界ごとの対応に委ねるものとする。 ①一括して表示する場合における表示部を囲む外枠や、部位の名称、表示を付す場所、併記する識別マークの相対的な大きさ等、その他の表記方法。
注)例えば、紙製の外箱とプラスチック製の個包装から構成される多重容器包装等で、外箱に個包装を一括に表示する場合には、一括の表示を付す対象(外箱)についてはサイズの大きなマークを使用し、一括に表示される対象(個包装)についてはそれより小さなマークを使用するなどの工夫も考えられる(図1 参照)。 ②多重容器包装等に、識別表示が義務付けられていない容器包装(ガラスびん、飲料用以外の金属缶、段ボール、飲料用紙製容器等の容器包装)が含まれる場合の情報提供の方法。
注1)例えば、ガラスびんとプラスチック製のキャップから構成される容器が紙製の外箱に入っている多重容器包装等で、外箱に一括に表示する場合には、図2のような表記方法が考えられる。
注2)ここでいう識別表示とは分別収集を促進するための表示(再生資源 利用促進法における第二種指定製品への表示)を指す。(次項③も同様) ③紙製及びプラスチック製容器包装の表示を一括して表示できる容器包装が、識別表示が義務付けられていない容器包装(ガラスびん、飲料用以外の金属缶、段ボール、飲料用紙製容器等)に限定される場合の対応。
注1)識別表示が義務付けられていない容器包装へ、紙製及びプラスチック製容器包装の表示を一括に表示する場合、一括の表示を付す対象に識別表示がないため、混乱が生じる恐れがある。このため、このような多重容器包装等に一括の表示を行うにあたっては、それが消費者の要請に応えるものとなっているか考慮する必要がある。
注2)なお、飲料用の金属缶(スチール缶、アルミ缶)、二種PETボトルについては、既に識別表示が義務付けられているため、一括に表示できる容器包装がこれらに限定される場合には、紙製及びプラスチック製容器包装についてもまとめて表示する必要がある。
注3)例えば、二種PETボトルとプラスチック製のキャップから構成されるPET多重容器包装等で、二種PETボトルにキャップを一括に表示する場合には、図3のような表記方法が考えられる。
5.社名・ブランド名等が印刷された包装への対応 社名・ブランド名等が印刷された包装に対しては、原則、他の容器包装と同様に、包装一枚につき一箇所以上、識別マークを表示するものとする。
ただし、一枚当たりの面積が1,300c㎡以下の包装については、表示を省略することができるものとする。
しかしながら、発注段階で裁断形状が明らかな場合には、一枚当たりの面積が1,300c㎡以下の包装についても、表示することは技術的に容易であることから、極力、識別マークを付すことが望ましい。
6.輸入品への対応 ①輸入販売事業者自らが容器包装の素材、構造、デザイン、印刷等の仕様に関し指示できる場合には、国内商品と同様のルールで表示を行う。
②一方、①以外で、印刷、シール・ラベル等による日本語表示がある容器包装には、日本語表示部分に、構成される全ての容器包装について一括して表示(全体一括表示)する(ただし、表示スペース等の物理的制約がある場合には省略することができる)。
7.材質表示の表記方法ならびに複合材質・複合素材の表記方法 プラスチック製容器包装の材質表示は、JIS K 6899-12000 (ISO 1043-11997)で定められている記号を用いて行うことを推奨する。
複合材質及び複合素材については、主要な構成材料を含め、2つ以上を表記し、主要な材料に下線を付す。
なお、プラスチック製容器包装の識別マークとともに表示する場合には、逆くさび括弧><は不要とする。
↓ 一括して表示する場合、識別表示と材質・素材表示を併記する際には、部位名に材質・素材表示を添えることができる。
(例)ポリプロピレン(主たる材質)とポリエチレンテレフタレートを積層させた素材でできたボトルに、ポリエチレンのキャップが付けられた容器が、紙箱に入れられており、紙箱に一括に表示する場合(図4)
8 .今後の取り組みの進め方 ■勧告・命令・罰則等の猶予期間■
識別表示の義務化は、資源有効利用促進法(再生資源利用促進法一部改正)の施行(平成13年4月1日)からとなるが、勧告・命令・罰則等の規定は、法施行から2年間は適用しない(平成15年3月31日までの2年間が猶予期間)。 ■事業者の取り組み面での課題■
「各事業者又は業界ごとの対応に委ねる」とされた事項については、各業界において早期に検討を進め、一定の方法に基づいて識別表示及び材質表示が実施されるよう、これらに係るガイドライン、マニュアル等を作成していくことが望まれる。 <JIS K 6899-12000 によるプラスチック記号(抜粋)>
※上記の記事は容器包装識別表示等検討委員会報告書および
JIS K 6899-12000を参考にしました。